一日一ポンコツ

サブカルオタクで創作クラスタなちょっと腐女子の雑記ブログ

陰キャ、コミュ障、周りに馴染めないと感じる人に捧ぐ一冊【内向型を強みにする】

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「内向型を強みにする」おとなしい人が活躍するためのガイド マーティ・O・レイニー著



大人数の輪の中で話すのが苦手・・・みんながわいわい集まるような飲み会は楽しいけど疲れる・・・人前で意見を発表するの怖い・・・

そんな自分を「コミュ障」だと思ってはいないだろうか?

さらに、自分はダメな奴だとか、周りより劣っていると思い込んではいないだろうか?自分を責めて自信を失ってはいないだろうか?

ここまでこの記事を読んでくれている、そこのあなたです。

そんなネガティブな短所だと思っていたところが、実は「内向型」の人間の特徴だとしたら、どうだろう。

いままで散々自分を責めてきた要因が、一転して強みに変わるとしたら。

あなたは内向型?外向型?

こんちゃぁ、しぐのです。「内向型」「外向型」ってあんま聞きなれない言葉かもしれないですが、少なくともいろんなものが「外向き」ではない自分はこの本のタイトルに惹きつけられるものがありまして。

 同じような人種の人にぜひ読んでほしくてこの記事を書いてみます。

  • 大人数で話したり騒いだりするのが苦手。
  • 苦手とまではいかないけど、疲れる。
  • 一対一で話すのは好き
  • プライベートな時間と空間が確保されないと死ぬ。
  • 気づいたら常に何か妄想してる
  • 話すより聞く側に回る方が多い
  • 一度心を開くとめっちゃ喋る

当てはまったあなたと私はナカーマ(^ω^)

私も、大人数で話すのが苦手です。苦手というか、まともに話ができたことが、いまだかつてあっただろうか。

職場ではオフィスに何人もの人がいるので、話をしていなくても、その場にいるだけでエネルギーが消耗されていく。

帰り着いてやっと全身の緊張が解けて、そこでやっと、一日中緊張していたことに気づく。

自分が何か話すときは、自分の言葉が相手にどんな印象を与えるか、脳内でシミュレーションしてからでないと、言葉として表に出てこない。怖いから。

で、話始めるまでにかなり時間がかかる→やっと言葉としてまとまった頃にはもう次の話題に流れてる→結局ずっと黙ったままお喋りの時間終了。

・・・と複数人で話をするとだいたいこんな感じ。

私自身、ずっとこの特徴は短所だと思っていたし、自分ではどうにもできないもんで、どうにかして周りにあわせていかなきゃいけないと思っていました。正直しんどい。

しかし!そのモヤモヤした気持ちに明るい答えをくれたのがこの書籍。

「ダメだと思ってた特徴は内向型の特徴だったのか」としっくり腹に落ちます。

内向型とは何か、そして内向型をどうやって強みにすればいいかを、たくさんの事例と科学的根拠を交えつつ論理的に解説。

あるあるな事例に共感しながら一気に読めるかと思います。

内向型人間とはなにか

本書における内向型人間の特徴とは・・・

 

  • エネルギーを自分の内側の世界から得ている
  • 外からの刺激に対して敏感
  • エネルギー回復のために自分一人の時間と場所が必要
  • 内省する時間を必要とし、話す前に考える
  • 人付き合いは狭く深く
  • 話し手より聞き手に回ることの方が多い
  • 無口で冷静に見られる
  • 多くの場合、周囲が意見を求めなければ、口を開かない
  • 邪魔されるとイライラする

 

わかりみが深い。

 

本書の中に内向型人間度をチェックする30の項目があって、自分の内向具合を知ることができるのだが、わたしは30項目中27項目あてはまるという驚異の結果。

めっちゃ内向型やーん。わかりみしかないはずだわ。

内向型、外向型を考える要素としてエネルギー刺激に対する反応というのがあり、文中の例えがすっごくわかりやすかったので紹介します。

内向型は充電式のバッテリーに例えられるように、エネルギーを使うには、充電するための休息が必要ある。そのためには一人時間が必要だし、プライベートな空間が不可欠である。

また、内向型は外部の刺激にすぐに手一杯になってしまう。情報の処理が追い付かず、すぐキャパオーバーになってしまう。

 

逆に外向型はソーラーパネルに例えられる。さながらソーラーパネルが太陽の光を電気エネルギーに変えるように、外に出て人と交わることでエネルギーを生み出す。外向型の人は、内向型とは反対に、外に出て刺激を求めないと、元気がなくなってしまう。外向型は刺激を求めている。情報の処理が速く、次々と新しい刺激を欲している。

 このように、内向型と外向型の違いを示しながら、それぞれの特徴がわかりやすく解説されている。自分と他者との違いを知ることは、今よりもっと心地よく生きるためのヒントになるはず。

無理に周りに合わせなくていい!

本の中でも触れられているし、生きていれば肌感覚で、みなさんなんとなくお察しかと思いますが

この世界は外向型中心にできている。

外向型の特徴が良しとされ、内向型は誤解されやすい。

現に、小学校の通信簿なんかに「友達をたくさん作りましょう」とか、「積極的に手を挙げて発言しましょう」とか書かれる。

そのような行動が評価され、逆にできない子は強制させられたり、問題があるとみなされることもある。

社会人になっても、就活のときには、やれコミュニケーション能力だ、やれリーダーシップだと、外向性がやけに重要視される。

そんな内向型が評価されにくい世の中ですが、この本では、それでも内向型の人は自分の能力に自信をもつべきだ!と背中を押してくれる。

無理に外向型の能力を身に付けようとしなくていい。

自分の強みを知って、活かすことで、十分に内向型人間も世の中に必要とされながら生きていくことができる。

自信がなくて豆腐メンタルな私に差し伸べられた救いの手・・・

とにかく、周りに合わせて体力と気力を消耗するのはもう辞めよう、と思えるし、それでいいんだと自分を許すことができるっていうのがすごく大きい。

自分が一番心地よく、なおかつ最大の力を発揮できる方法を、ステップバイステップで考えさせてくれる。

今こそ内向型の力が必要とされている

世の中が外向型中心であるとはいえ、外向型の人間だけになってしまったら、きっと世の中は回らなくなる。

内向型の人間も、この世に必要だから存在している。

それぞれが、お互いの足りない部分をカバーし合うために、違う気質を持って生まれてきたはずなのである。

この本の中で私が光を当て、論じようとしているのは、内向型の人の隠された長所と力である。外向型の人はこれまでずっと、数々の良い評価を受けてきた。私は内向型の長所を示すごとに、外向型の長所を示すということはしない。むしろ内向型の長所が、いかに外向型の限界を補えるかに焦点を合わせるつもりである。それぞれの気質は、もう一方の気質の足りない部分に力を与えるものなのだ。

「内向型を強みにする」p37より

 

女性の社会進出、LGBTへの理解、昔に比べて、世界はどんどん多様性が認められるようになってきていると思います。

いろんな人がいて当たり前。そんな風に世界はアップデートされてきている。

違いを知って、認め、尊重しようという風潮はこれからも速度を上げて浸透していくと思うし、そうあってほしいと思う。

だからこそ、今まで少数派で、あまり日の目を見なかった内向型の人が、今こそこれまで以上に力を発揮できるようになるんじゃないか。

少し、考えが飛躍しすぎかもしれないけど、少数派であるということは、それだけ、一人一人が大きな力を秘めているという可能性も考えられなくはないんじゃないか??

マイナー万歳。みんなが持ってない思考回路を持ってるなんてすごいじゃないか。

一人でもくもく悩んで苦しいときも多いとは思うけど、そんなマイナーな自分をちょっと誇りに思ってもいいんじゃないか??

世の内向型の皆々様方、自分の価値を再認識するための一助として、ぜひこの本を手に取って読んでみてほしい。

 

内向型を強みにする

内向型を強みにする

  • 作者: 
  • 出版社/メーカー: パンローリング株式会社
  • 発売日: 2013/06/16
  • メディア: Kindle版
 

 

初めてウェディングフェアなるものに行ってきたゾ【ララシャンス博多の森】

こんにちゃぁ、しぐのです。

2ヶ月ほど前、友人の結婚式に参列し、その友人から「幸せのバトン」という名のブライダルフェア招待チケットを頂いたので、行ってきました!はじめてブライダルフェアに行ってきましたのでちょっとレビューしたいと思います。 

そもそも幸せのバトンはブライダルフェアというより、食事会の招待チケット?みたいです。私はたまたま参列したときにプランナーさんとお話する機会があって、良かったら式場見学も一緒にどうですか?と勧めてもらったので、式場見学と試食の両方させてもらいました。

具体的な結婚の予定なんて1つもないのにフェアにだけ参加しちゃって、営業する側からしたら迷惑な客だったと思うんですけど、そんなこと微塵も感じさせない丁寧な対応で本当に感謝…。タダ飯ラッキーくらいの気持ちで参加した意識低い系カップルで本当に申し訳ない。

 

ララシャンス・博多の森

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www.google.com

今回、私たちが行ったのは、福岡空港のほど近くに建つ式場、ララシャンス・博多の森!

3つのチャペル、4つの披露宴会場から成るゲストハウス型の結婚式場です。

ゲストハウス型っていうのは、別荘を1つ貸し切るような形の式場のこと。「結婚式」という1日を非日常の中で過ごしたい人にはオススメの式場です。ララシャンスのこだわりのポイントでもあって、非日常感の演出はたしかに力入れてある感じが伝わってきます。

全体の流れ

1.受付、アンケート

まずは受付をして軽くアンケートに答えます。希望の日取りや、予算、人数など大まかなもの。

2.ウェルカムドリンクと簡単な説明

別棟の相談カウンターに案内され、「お飲み物はいかがですか?」とメニューを差し出される。コーヒーか紅茶か選ぶくらいだろ、と思ってたらキャラメルマキアートだとかジャスミンティーだとか喫茶店並のメニューが並ぶ。梅こぶ茶まである。梅こぶ茶て!!

運ばれてきたドリンクを頂きながら、担当のプランナーの方とお話し。

今回、私たちが何も具体的に決まってないことを聞いても「アトラクションに来たつもりで、今日は楽しんで下さい」と言って下さって、本当に感謝しかないです。

具体的な話ではなく、「どんな式にしたいか」というふわっとした希望を話して、イメージを共有したところで、いざ式場見学へ。

3.式場見学

サンタムール教会

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まずはララシャンスのランドマークでもある木のチャペルへ。私は友人がここで挙式だったので2回目。

入って正面とサイドがガラス張りになっていて、チャペルの周りを囲む緑が映える。木の暖かさとガラスの向こうの緑が、本当に森の中にいるような心地にさせる。天井が合掌造りみたいな、左右から手を組み合わせたように木が組んであって、「新郎、新婦が手を取り合うように」との意味が込められているとのこと。

私、こういうのに弱いんだよな〜〜。実はこんな設定があるんだよ、これにはこんな意味が込められてるんだよ的な説明されるとキュンときてしまう。そしてララシャンスは、そんな隠された設定がいくつもあってときめいちゃいました。

アクアベール教会

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先ほどの木のチャペルとは一転、静謐な湖の上に浮かぶイメージ。こちらも全面ガラス張り。流れる水の音とガラスの向こう一面に広がる水面が神秘的な雰囲気を醸し出している。白を基調とした内装もそういった雰囲気に拍車をかけているようである。女性人気は先程の木のチャペル、男性人気はこの水のチャペルがダントツなんだとか。写真が夜なんで、神秘的な感じとか全然伝わらない。残念。

サンタマリア教会

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次はちょっとこじんまりした白いチャペル。他の2つと違い窓がない作り。ここの特徴は入り口の真上にプロジェクターがあって映像を流せるということ。挙式が始まるまでの間って確かにちょっと手持ち無沙汰だし、そこで映像流したりするのかな?参列者が中で映像を見ている間、新婦とバージンロードを歩くお父さんやお母さん、この2人だけは、扉の前の閉ざされた空間で2人きりで映像を見られるそうです。お父さん、もしくはお母さん泣かせたい人にはいいかも(笑)

ここにもちょっとしたネタがあって、2人きりになれるその空間はちょっと薄暗く、水の音が聞こえるんだとか。何をイメージしてるかわかりますか?お母さんのお腹の中、だそうです。そこから扉を開けてバージンロードを進む道のりは、生まれてから今まで生きてきた道のりを表しているとのこと。いやー設定が凝ってますね〜〜。きゅんきゅんしますね(私だけか)

披露宴会場

披露宴会場は4つあるうちの2つしか写真撮れなかったー(単に撮り忘れただけなんだけど)

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写真は水のチャペルとセットの博多の森迎賓館。水に囲まれてるので花火とか打ち上げられるらしい!派手にな!

披露宴会場の中で一番広く感じました。白が基調なので、飾る花とかクロスによって自分らの好きなようにコーディネートしやすいってのも良いですね。逆にこだわりがなかったら味気ない感じになっちゃうかも。

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こちらは木と緑の暖かみを感じる、南欧リゾート風のシェ・ラ・フォーレ。ガーデンとも一続きになっていて、どっちかというと形式張らずラフな結婚式にしたいならこっちかな〜という印象。

他の2つの披露宴会場は似たような感じで、白を基調としたさっぱりした作りでした。オーソドックスな結婚式に向いてるかな。特徴がない、みたいな書き方になっちゃったけど、オーソドックスって大事で、結局最後に選ぶのはオーソドックスな会場って人も多いと思う。

4.試食

さて。ぐるーっと式場を一周してもとの相談カウンターへ戻ると、すでに食事の準備が。よもや。

どの会場が良かったかとか(式挙げないくせに)きゃっきゃっ話してたら早速料理が運ばれてきました。

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お料理は前菜、メイン、デザートの3つ。前菜までは写真撮る余裕あったんだ…そのあとは…食べるのに夢中で…

違うんだ!!美味しすぎたんだよ!!こんな高級料理を前にして貧乏人の私たちが正気でいられるわけないんだ…!(土下座)

前菜は和と洋、それぞれ1皿ずつ、私が洋のプレート、旦那(仮)が和の膳をシェアしながら食べる。のどぐろ、ホタテ、アワビ、キャビアなど海の幸が贅沢に使われており、野菜類は丁寧に調理されていることがわかります。

メインは和牛のステーキにフォアグラ、そこにトリュフのソースがかかったこれまた贅沢な一品。付け合わせも素材が良い。

そしてデザートは秋の味覚のクレープ。芋や栗をメインにナッツやクリームがバランス良く配置されていて、感動。メープルシロップをかけて頂きます。

これが無料なんだぜ…信じられるか…?

5.プレゼント

試食が終わって、アフタードリンクを飲みながら「どうでしたか?」と案内してくれた担当のプランナーさんに感想を聞かれて、しばし感想を述べる。と、「最後にプレゼントが…」といいながらおもむろに手提げ袋を差し出すプランナーさん。ええええ

中はクロワッサンと写真。写真?と思われるだろうが、実は式場見学の途中、プロのカメラマンさんが写真を撮ってくれていたのだ。しかし、まさかそれをすぐに現像して額にまで入れてくれてプレゼントしてくれるなんて予想してなかった。

おもてなしの精神に素直に感動する。

 

ほんとは試食のあと見積もりがあって金額の話とか詰めてするんだろうけど、今回は本当に私たちが楽しんだだけになってしまった。でも、こうして式場見学、試食を経て、スタッフさん達の対応も見れたわけで、結婚式がもっと具体的に見えてきたら、ここで式を挙げるのも良いかもな〜と思えるホスタピリティーでした。

これから結婚式場を探す方の参考に少しでもなればな〜と思います。

サマータイムレンダが読み始めたら止まらない

こんにちゃぁ、しぐのです。私は最近ジャンプ+のアプリを愛用しておりまして、トップのページをぱらぱら〜〜っと眺めては新しい漫画との出会いを常に探しているのですが、その中でずっと気になってた『サマータイムレンダ』。

気になってたし、ちょっと読んでみよ〜と軽い気持ちで1話を読みだしたら…

もう止まらん止まらん。

とにかく続きが気になってアプリが閉じれない。最新話まで一気読みしてしまいました。紙でもう一回読みたい。

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サマータイムレンダ 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)

サマータイムレンダ 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)

 

 

〈あらすじ※ネタばれ注意※

ストーリーは主人公が幼馴染の訃報を受け、故郷の離島に里帰りするところから。幼馴染の潮は表向き事故死ということだったが、誰かに殺された可能性が。潮は海で溺れた女の子を助けて、自らの命を落としていた。助けた女の子は葬儀の翌日、一家全員で失踪。

島には「影の病」という怪談話が古くから伝わっており、自分とそっくりの人間(影)が現れ、それを見たものは死ぬという。

主人公は影に早々に殺されるが、次の瞬間、島に降り立つ前へと時間が巻き戻る。同じ時間を繰り返す中でどんどん影の謎に迫っていくというSFミステリー。

ドッペルゲンガーとタイムループ。いくつものジャンルの要素が交錯してて、ジャンル分けが難しいですが、大枠はループものに分類されるのかな。

ループものといえば『時をかける少女』『僕だけがいない街』なんかが代表的ですが、どれも同じ時間軸を何度も行ったり来たりして「不都合な事実」「受け入れられない現実」を回避しようと試行錯誤しながら物語が進むという構造。ミステリー要素が強く、『時かけ』よりだいぶ『僕だけがいない街』を彷彿とさせますね。

1話目の時点で、その全てが伏線。テンポが良く畳み掛けるようにストーリーが展開していって、全く読む手を休ませない。スピード感が優秀。

ミステリーって、バラバラだった謎が1つに繋がっていく瞬間が一番醍醐味だと思うんですけど、この作品はしっかりその醍醐味を味わわせてくれる。パズルがどんどん噛み合っていく快感。破綻も蛇足もない上質なミステリーに出会ったときって、ほんとに至高の喜び。

どんな作品でもフラグには敏感だが、殊にミステリーは、どこが伏線になるのか探しながら読むのが楽しい。「これは後々絶対どっかに繋がってくるぞ」と予想しながら伏線の小石を拾う。どんだけ小さいフラグをキャッチしながら読めるか、みたいな。

そして後々、その拾った小石が予想通り回収された時の「よっしゃぁぁぁやっぱりな!!!なんかあると思ってたぜぇぇぇ」っていう快感と、逆に「そんなとこにも伏線があったのか見逃したぁぁぁ」っていう発見の繰り返しで、その見逃し、自分が拾えなかったフラグが多ければ多いほど、その作品は自分の中で「面白い!!」ってなる。

サマータイムレンダもまさにそんな感じで、最新話まで読んでまた1話を読み返すと、「あ、こんなとこにも伏線があったのか」とその緻密さにトキメキが止まらない。

 

ミステリーの完成度も面白さの1つなんですけど、それだけなら小説でも別にいいんですよね。

この作品が漫画として優れてるのは、この物語全体に漂う不気味さの演出、影と戦うシーンでのバトルの迫力、多彩なキャラクターの魅力、それらをすべてカバーする画力の高さだと思うんです。自分の好みの絵柄ってのもありますけど。

たまたまコメント欄に目を通してると、作者の田中靖規先生は、ジョジョの荒木飛呂彦先生のアシスタントだったと…!画力高いはずだよ!!!系譜が脈々と受け継がれて、名作が名作を生む、その連綿とした流れの発見も、思いがけない喜びの一つでした。

 

ミステリーと同じくらいの割合でホラーの要素も多分に含んでいます。

そもそもドッペルゲンガーってのがホラー要素。隣人がいつのまにか別人に入れ替わるという不気味さ。

それに加えて、島という物理的にも他と隔たれた田舎特有の閉鎖性。ホラーゲームの『SIREN』を思い出します。舞台の日都ヶ島は、和歌山の実際に存在する離島、友ヶ島がモデルになってるようです。旧日本軍の砲台跡とか実際にあるらしい。

そして、島に伝わるヒルコ神の信仰。ヒルコ(蛭子)は日本神話に登場するイザナギとイザナミの最初の子供で、異形であったために生まれてすぐ海に流されてしまうという可哀想な神様なんですよ。異形のために親に愛されなかった神、それを崇める島の信仰。そんな暗い設定が下敷きになっているということを知って読むと、不気味さがじわじわ効いてくる。

しかし「廃病院」「大戦時代の日本軍が使っていた地下通路」など、それが出てきただけで身構えてしまうようなお決まりな舞台設定は登場しますが、あくまでもダンジョン的な、敵のアジト的な位置付けになっていてホラーに振り切りすぎないバランス感覚は素晴らしい。(怖いの苦手だからこれくらいのバランスが私にとってはちょうどいいです)

 

〈※以下、ネタバレ注意※〉

キャラクターの人間性も話が進むにつれ深掘りされて、どんどん魅力を増していくように思います。特に人間性の描写に痺れたのが、根津と菱形の影になってしまった妻に対する姿勢を描いたシーン。

影になった妻を殺せず拘束したままずっと生かしていた根津。病気で生きられなかった妻を影にしてでも離れられなかった菱形青銅。それぞれの姿が対比的で鮮やかだなぁと。この正反対の2人の男には根底に流れる深い愛が見て取れます。何者をも犠牲にしてでも妻と共に生きようとした菱形。その過ちと弱さを描くことで、逆説的にその愛の深さを読者に訴えた。かとおもえば、自分自身で妻の影を葬ることでケジメをつけた根津の葛藤と決意を描くことで、菱形とは別の形で愛情を表現してみせています。影に人生を翻弄された不器用な2人の男の精一杯の愛情…なんて愛おしいんだろう。まさかここで涙するとは。

おっさん…あかんよ…愛おしいよ…主役差し置いてこの2人についてそんなに語るのはどうかと思うけれども、そんだけ脇役にも一人一人人間ドラマがちゃんと設定してあって、キャラクターが作りこまれてて、愛を感じます。キャラの意外な一面が見えるたびに、リアルな人間らしさが増していくようで、変化していくキャラクターの人間性という見所も、この作品の魅力ですね。

 

ミステリー好きなら絶対楽しめる作品です!ジャンプ+なら無料で読めちゃうので是非…!是非…!

shonenjumpplus.com

 

薬屋のひとりごと

中国の後宮が舞台の謎解きもの。時代は唐〜漢の時代かと推測される。


主人公の全く飾り気のない性格も好感をもてる。誰もが目を奪われる美しさをもつ宦官の上司にも媚びるどころか煙たがる。いちいち上司の言動にイラッとする主人公のドライさが絶妙で良い。この麗しい宦官と超絶塩対応の主人公が繰り広げるラブコメ(?)がちょうどいい塩梅で挟まってきて面白さの幅を広げている。

そして絵が抜群にうまい。見やすい。
私はマンガワンというアプリで見ていますが、マンガワンではサンデーGXで連載中の倉田三ノ路先生の作画の方がアップされています。
この薬屋のひとりごと、原作は小説です。もともと投稿型のネット小説が始まりだったようです。1つの原作小説をもとに2つのマンガが違う雑誌で同時に連載してるっぽい。(ややこしや〜)ビッグガンガン掲載のねこくらげ先生、サンデーGX掲載の倉田三ノ路先生。
どっちを読むかは完全に好みによるところだと思いますが、私は倉田先生推しです。なので、マンガワンまじでありがとう。

HQもいいけど四谷先輩名作だから読んで

 

ホラーなんて見て喜んでるやつの気が知れねぇよ!!!

ホラー系の小説でも漫画でも映画でも、見ちゃうとほんっと夜寝れないし、鏡見れないし、シャワー浴びてるとき背後がやたら気になるし、バックミラー見たら後部座席になんかいるんじゃないかって気が気じゃないよ!!!

 

っていうくらい私、ホラー苦手なんですけどね。でも見ちゃうんだよねー。後悔するってわかってんのに見ちゃう。というのも、面白い作品が多いんですよ、ホラーって。まぁ中にはただビビらすだけのやつもありますけど?

 んで、四谷先輩も私の中のベストオブホラーなので、改めておススメしとく。HQは知ってるけどこっち読んだことないって人はぜひ。デビュー作とは思えないクオリティ。絵がね、けっこう迫力あるからね、読んだ日の夜はお布団の中でちょっと後悔するかもだけど、読んで後悔するような作品じゃないです。ぜひ。(2回目)

 

詭弁学派、四ツ谷先輩の怪談。 1 (ジャンプコミックス)

詭弁学派、四ツ谷先輩の怪談。 1 (ジャンプコミックス)

あらすじ

幻の生徒と噂される四谷先輩。怪談話と引き換えに怪事件を解決してくれるらしい。

親友のヒナノが行方不明になってしまった主人公の中島誠は、ヒナノの手がかりを求めて四谷先輩の元を訪れる。

幻と噂されていた四谷先輩は、「最強の怪談を作り出す」と豪語する謎の人物。

誠は、四谷先輩の怪談作りを手伝う羽目に。果たして、四谷先輩の作り出す怪談と、事件の真相は繋がっているのか・・・?

「すべての悲鳴は俺のもの!!!!」

 

 この作品の醍醐味は、四谷先輩の「語り」。

恐怖心を掻き立てる演出と、心を支配されるような四谷先輩の声・・・。

聞き手は、その恐怖心から、実際に霊がいるかのように錯覚するという構造を取ってまして、「幽霊」なるものが実際に出てくるわけじゃないんだよね。そこが他のホラーと違うところで面白い。

ほとんどのホラー作品が「幽霊(とか妖怪とか人ならざる者)」VS「人間」という構図を取る一方、この作品は「恐怖心」VS「人間」とでもいいましょうか。

 

しかも「語り」っていう声ありきなところを、あえて漫画で表現してくる斬新さ。

トリッキーなコマ使いや効果音の入れ方が効果的で、実際には、四谷先輩の声は聞こえるはずないのに、目の前で「語られて」いるような、そして心を支配され、聞き入ってしまっているような、錯覚に陥る。

四谷先輩の語りによって、聞き手が霊を見てしまうように、古舘春一先生の表現の巧みさによって、私たち読者も、聞き手と同じ錯覚を体験してしまう。

 

それほど読者を引き込む表現力を下支えしているのが、卓越した画力。

冒頭にもいいましたけどね、デビュー作ですよ。信じられない。

 

余談ですけど、語りを漫画で表現って言って思い出されるのは落語心中なんだよね。

落語心中はアニメも大好きで、豪華声優陣の本気が見れます。漫画で表現された「語り」に見合う実力派の演技は、見ててほんとにしびれる。

四谷先輩もさ・・・アニメ化・・・しないだろうけど・・・絶対しないだろうけどさ!!!アニメで見たいよぉぉおぉ!ノイタミナ枠でさ・・・なんならネット配信だけとかでもいい・・・制作会社さんお願いします!

 

 さて、この四谷先輩の怪談、単行本3巻で完結してるんだけども、ストーリー綺麗にまとまってて、そこも良き。

打ち切りって言われてるけど、打ち切りの割には無理やり終わらせた感はあまり感じられず、むしろあれで綺麗にまとまってるから、私は良いと思ってるんですよね。続きが読みたいかと言われれば、もちろんYESだけど、長く続ければいいってもんでもないし、あのラストは良い着地だと思ってます。

3巻だから紙で持っててもかさばらないし、むしろ紙で持ってて何度も読み返したい。

つってAmazonの情報貼るというね(笑)

 いまや人気連載中のHQも、この四谷先輩が原点なんでね、立ち読みでもさらっと読めちゃうから(良い子はちゃんと購入しましょう)一度は読んでみてほしい。